VALUE LIFE

生命を大切にする観点から、私の記憶、体験、知識などを綴ります。

311

その日、いつも通り子供の習い事で、

スイミングスクールへ行き、

大きなガラス窓のあるフロアに腰掛け、

子供達の泳ぐのを見ていました。

 

地震の始まりは、ガタタタタと急に大きな音がして

フロアのガラス窓が激しく揺れはじめ、

目の前にあった手すりに掴まるも、

ジェットコースターに乗ってガタガタと

急な振動を感じた時のように

足元にもそれは広がり、

この鉄筋の建物の金属も折れたり

崩れ落ちたりするのではないかと

一瞬にして恐怖に陥りました。

 

目を向けたプールでは水面が波立ち、

先生方が

子供達をプールから出るように指示していました。

プールの天井はアーチ型の木製で、

あまり古くも見えなかったのですが、

何か落ちてくるのではないかと

気が気ではありませんでした。

 

子供達はすぐに、プール脇のドアから外へ出され、

停めてあった送迎バスの中へ誘導されました。

その時バスタオルまで持っていたか

記憶が確かではないのですが、

先生方はすぐに毛布を持ってきてくれて子供達に渡し、

しばらく子供達はバスの中、親たちはバスの外で、

揺れの収まるのを待ちました。

 

この時点までに、私には、

子供を更衣室まで迎えに行くか迷いがありました。

そして、恐怖ですぐに動けなかった自分は

子供を助けることができないと痛感しました。

先生方の迷いない行動で、当時の恐怖も深くなく

子供は大きくなれました。

 

外で待っている時も度々揺れましたが、

子供の安全が目の前に確保されていたことは

先生方のおかげに他なりませんでした。

 

一人のママさんが携帯にかかった電話を受け、

大きな被害のあったことが聞こえてきました。

その方の実家方面は、

もっと大変なことが起こっているらしく、

「えっ?えっ?」

と何度も聞き返して

聞いたことを繰り返していました。

すぐに実感も湧かなかったことでしょう。

大げさな会話にも受け取れる口調だったので、

何か大変なことが起こっていることだけが伝わって、

誰もそのママさんから情報を聞き出すでもなく、

先生の指示で、

子供が更衣室へ向かうに合わせて建物の中へ入り、

急いで着替えさせて帰りました。

 

信号機が消え、交差点を注意深く横切り

家に着いて、何も壊れていなかったけれど、

 

 

子供の命を守ること

 

それが思っていたほど

できなかったと感じたことは大きく、

 

自分は弱い人間だということ

子供と自分は別の人間だということ

子供は子供の人生を生きるということ

 

よって、

子供を守り続けてやることは無理だということを

 いっぺんに理解しました。

 

そこからずっと楽天的にはなれず

今に至りますが、

 

子供が自分の命を守って生きていけるように

大切な自分の望むように生きていけるように、

心身も世の中も常に良くあってほしいと

親ならではの強い感情でも

世の中を見ています。