VALUE LIFE

生命を大切にする観点から、私の記憶、体験、知識などを綴ります。

日向の力

わたしの部屋は、家の中の狭い一角です。

冬の間は日照時間も短く、冷え切っています。

 

それでも南の窓から太陽の光が差し込む

その時間は、一人でいるのに落ち着く場所になります。

 

冬の日は特に こうも日向の暖かさは

よりどころになるのかと実感します。

 

机の上に散らばったノートやシャーペンや書類に

レースのカーテン越しの光が乗っているだけでも

気持ちが上向きになるようなものがあります。

 

暖房のあるリビングはまだ日陰で、

しかも全体的に陽が入らない場所にあります。

その部屋で、暖房にくっついているよりも

この狭い場所の方が、多少の肌寒さを我慢してでも

落ち着いた気持ちになれるのは 太陽光のおかげです。

 

自然界の一部である人間も 文明の利器との付き合いだけでは

バランスを崩して弱くなってしまうのが分かります。

少し寒くても 外に出て散歩したり、外作業をしたりすれば

元気になるようにできているのを実感できます。

 

日向でうたた寝してしまった時に、

それが小さな良い感じとして心に残っていました。

 

たとえば

元気のない時には 無理や我慢をしないで

日向でぼんやりしていてみるというのは

良いことが多いのだなあと思いました。

 

たまたま日向の中にいた自分は その力を吸収していて

人にも自分にも優しくなって、

ま、いっかと思えるくらいに落ち着いていました。

 

タスクを気にして 時間に追われる気持ちになり

人のペースが受け入れられなくなっていても

自分ひとり、日向にいる時間を確保していたら

思っていたより簡単に癒されているものだなあと思いました。

 

お日様の光満ちたこの空間を 文字にしてまで

こんなに幸せに味わうことをしてきませんでしたが、

 

味わうほど 高揚した、何か特別な気持ちになり、

この光の中にくるまれて細胞ごと生まれ変わりたい

くらいの蘇生感で、全てが温まっていくようでした。

 

忘れがちな、味わうという感覚も

この暖かさの中で、増えていっています。

 

ただただ ここにいたいと願う。

 

日の光が薄くなり、やがて部屋の気温が下がり

この場所にいられなくなるのも数時間足らず。

 

 

日向を求め、恩恵に浴し、この感じを持って

日常に反映するものは、同じように暖かく

家族を温めるものであることを願って。

 

 

深呼吸をしている。

 

いつの間にか、意識してもできなかった

深呼吸をしている。

 

四季を通し陽光と共にある地帯に住む私たちは

冬の日々を過ごし 春が来るのを待っています。

 

北欧諸国のような冬を明るく過ごすための方法を

初めて知ったときは、とても魅力的に感じ、

長い冬をみんなで乗り越える知恵と美的センスと

優しくし合う文化が融合し、素晴らしいなと思いました。

 

活動的に動けない季節の心構えと楽しむ気持ちで

こんなふうに成熟した生活を作り出せているというのは

真似してみたいと思うほど心惹かれました。

 

 

しかし、雪もなく どこにでも移動できるくらいの

気軽な冬を過ごしているわたしは、ひだまりの中で充分

心身の健康を保てる程度の光に恵まれていて、

その憧れの暮らしに寄せた生活をしたいと思ってみても

さほどやらないことが やがて わかったのでした。

 

 

日向にいるのと日陰にいるのとでは、活動意欲が

違うのを感じていますが、夏にはこの日向に圧倒されて

日陰で同じような、心の落ち着きと深呼吸を味わうわけで

それを通して、季節の醍醐味を感じているとも言えます。

 

 

不思議な思いと感謝と、なんとも言えない心地よさだけを

味わいながら、きっと 今 充電されていると思いました。

 

 

日当たりのよくないところに住んでいるから

それがより一層感じられるのかもしれません。

 

 

日が陰ってからの部屋は、どんどん気温が下がって行きますが、

太陽はまだ、空を明るくしています。

 

 

気持ちだけは太陽を追いかけて、

一度 庭に出ようかと迷う夕暮れです。